第1話は終わらない~コミュニケーションはチームにとって大切な武器になる~

彼らに話しをするとき、どのような状態で話すかということは重要である。貴重な時間を使って話をするとのだから伝わらなければ意味がない。私は話をするときはできる限り注意をそらす因子を排除するように心がけている。できることならば静かで暑い、寒いのない、集中できる場所が良い。そのためには場所を変える場合もある。

基本は円陣。全員が重ならないように立ち、全員の目が私から見えるように位置どらせること。熱く語りかけるときに用いる。全員座って話を聴く体形。これは話して聞かせるとき。どちらの場合も私は立って話す。
全員立って集まる中、私は座って話す事もある。すでに意識をしているはずであろう状況においても態度に表れてこないときなど、念を押すようなとき。

ひとりを呼んで隣に座らせ、共にチームの活動している姿を見ながら話して聞かせる場合もある。これは昔話や思い出話、かつてこんな奴がいたんだという話を聞かせながら自らを省みさせる場合。

とにかくいかなる手段をとってでもまず「気づかす」ことが大切だ。この対処が遅れるとだんだんとチームの志気は弱まっていく。

「一回集まってくれ!」
しっかり円陣を作って全員がこちらに意識を向けたところで話し始める。
「みんなそれぞれ目的を持って取り組んでいるか。」
話しながら一人ひとり、全員の目を見まわす。目は口ほどにものを言うという。

目的・目標・課題をもって取り組んでいるものはしっかりとした目つきでこちらを見つめている。時には睨んでいるものもいる。こういう連中は何らかのものを持っているのであろう。しかし漠然と取り組んでいるものは目がおよいでるか困った顔をしていることがある。

その割合を確認する。意識のあるものが多い場合、意識あるものに向けて互いに刺激し合うことが如何に大切なことかを話す。
意識のあるものは、それを表にだすことで、雰囲気を高めるよう促すのである。チームを伸ばすのに最も効率が良いのは自分たちで意識を高めあうことである。

指導者に促されるより、仲間に指摘されたり、はっぱをかけられるほうが影響力がある。相互作用が最も効率がよい。私は常に一人ではなくそれぞれの立場で考えさせるようにもっていくタイプである。どんなときでも『つなげる』事を大事にしている。単発では意味がない。つながるからこそ動き出すと考えている。

私が彼らと関われる時間は短い。一週間のほとんどが自分たちで練習に取り組んでいるわけだから、自分たちで刺激し合うようもっていかねば、チームの成長はありえない。私はフィットネスにおいて、受け持つ時間以外の自主的活動においても積極的に取り組ませるよう導く責任がある。

「意識の高いものは自分自身を伸ばそうと取り組む姿勢は評価できる。しかしなぜ努力するのか。チームの勝利を第一目標に取り組んでいるのではないか。」
「自分だけが良くなってがんばることができても、仲間ががんばれなければ強いチームにはならない。」
意識の高いものが、そうでないものに声をかけるということは非常に大切なことである。

持ちつ持たれつと言うがみんなが積極的にがんばれるという集団は少ない。引っ張っていくもの、それに刺激されてついていくものがあって良いのだと思う。だからキャプテンは勿論のこと、意識の高いものが協力してチームメイトに働きかけていくようでなければならない。
手っ取り早く言えば意識の高いものが小さい気持ちでは成長できないのである。ダメだと思うなら、伝えなければならない。

永平寺という有名なお寺を尋ねたとき、「わかっているものが行動しなければならない、わからないものにはできないのだから・・」というような言葉をめにした。どっちがいいとか悪いとか小さいことを気にしていては前に進んではいけない。

私もけしかけるだけではいけない。
高校生たちはコミュニケーションの仕方が未熟である。これは今に始まったことではない。若者は友達だけでなく、親や先生、親戚など様々な人と話し合う機会が少ないのである。挨拶をするしないとかの問題ではない。

思いを伝え、それについて相手の思いを聴く。互いに理解し合うために如何にすればよいかをという経験を積んできていない。夫婦に会話がないなどと言われるが、会話をしないでいると相手に依存するようになるか孤立するようになる。

誤解というものはごく簡単に生まれるものであるが、できるだけ誤解を受けないようしっかり自分の気持ちを伝える必要がある。そして相手の思いを引き出すことも必要なのである。

そういう意識が互いにあれば、互いに一生懸命理解し合おうとするから短い時間の中でもある程度意志の疎通は成り立つのである。
そのようなコミュニケーションが彼らの中である程度できるようになるまでは、レフリーのような存在が必要であると思う。私が当面レフリー役を担う。
言う立場、聞く立場にそれぞれ必要なのは相手を思う気持ちである。

心の中で仲間を思う気持ちが持てるように、導いていかなけれはならない。表現の仕方が未熟なために誤解を招くことは良くあることだ。どのように言えば上手く自分の気持ちを伝えることができるのかも場数を踏まなければ上達しない。若者は少しのことで傷ついたり、へこんでしまうことが多い。そのたびにフォローする必要がある。時には目の前でそれぞれの気持ちを出させあう時間を持たせることもある。 ~つづく~
[PR]
by stagecoach | 2006-12-07 00:12
<< プレー再開 第一話 つづきのつづき >>